危機感が決意させたEC物流への挑戦。
15坪の超スモールスタートから、新たな事業の柱を確立。

主婦の友図書株式会社

この記事のポイント

Point
1
自社でのEC物流挑戦には、与信・営業・初期投資など様々な壁が存在
Point
2
15坪のスペースと30万円の初期投資で提携開始。
導入は安心でスピーディ
Point
3
自力での与信管理や営業は必要なし。
多数の荷主からの業務も、システムで負担なく運用可能

埼玉県内の倉庫会社・主婦の友図書株式会社様。同社は45年もの実績を持つ出版物流業務の傍ら、2016年よりオープンロジの提携倉庫として新たにEC物流の取り扱いを開始しました。

出版物流で実績を持つ同社が、あえてEC物流という新たな領域に踏み出した理由。それは当時抱いたある危機感だったといいます。
市場の変化を見据え、オープンロジと共に新たな領域に挑戦された同社。今回はその決断の背景や、実際に導入したご感想をお伺いしました。

写真向かって左より、主婦の友図書株式会社 特販部部長・髙久田様/同課長・後藤様

出版からECへ新たな挑戦。そのきっかけは、危機感だった

まず、貴社について教えてください。

当社は1975年に創業した倉庫会社です。出版社である主婦の友社の書籍販売部管理課が独立し、東京三鷹市にて物流センターを構築しスタートしました。1984年に埼玉県入間郡三芳町に移転し現在に至りますが、創業以来ずっと出版物流を中心に扱ってきました。会社の規模としては、倉庫面積が延べ600坪ほど。従業員数は50名ほどで、物流事業とシステム事業が半々です。

オープンロジとは2016年から提携し、もう4年近くのお付き合いです。きっかけは、知り合いの出版物流会社さんからのご紹介ですね。当時、当社はある大きな危機感を持っていたことから興味を惹かれました。

どんな危機感を持っていたのですか?

「長年の出版物流を大切にしつつも、将来を見据え新たな軸を模索していました」

「このまま出版物流だけでやっていけるのか」という、将来に対する危機感です。時代の流れもあり出版物流は減少傾向で、業者間の競争も激しさを増す厳しい状況でした。そんななか当時の我が社の経営は、実に8割以上を親会社経由の出版物流の案件に依存していたのです。これは経営としてバランスの良い状態ではありませんでした。

そのため、実はオープンロジのお話をいただく以前から社内では「このままで大丈夫だろうか」「出版を大事にしつつ、新たな事業の軸を作りたい」といった声が挙がっていたのです。その際、自社でできる解決策も色々と検討したのですが、これがなかなか難しく…。そんな時にオープンロジとの提携のお話をいただきました。

当時は、どんな解決策を検討されたのですか?

たとえばフリーペーパーやアパレル企業のカタログなど、同じ紙の印刷物でも出版物流以外に挑戦しました。当時は業務量が減ってしまい、パートさんの手が空く時間を何とかしたいと思っていたんです。ただ実際にやってみるとスポットの案件が多く仕事量に波があったり、印刷の品質により短時間納期の作業になったりと業務負荷の面で厳しくて…。プラスにはなったのですが、問題の根本解決にまでは至りませんでした。

そのほか解決策の1つとして、EC物流の話もこの段階で社内から出ていました。当時からECは伸びていて、我々も外部のセミナーなどでEC物流の魅力を聞いたことがあり、新事業として可能性を感じていました。そこで何とか自分達でお客さんを獲得してEC物流を開始できないかと検討したのですが、そこで壁にぶつかりました。

与信管理や営業、大きな初期投資…。EC物流への挑戦を阻む様々な壁

「EC物流には魅力も可能性も感じていたものの、自社だけでの挑戦は難しかった」

自力での挑戦を試みたものの、そこには壁があったと。

はい。1つめは与信の問題です。EC物流の特徴の1つは、中小規模の顧客が多いこと。すると自社では与信が取りきれず、物流アウトソーシングの依頼をお受けするのが難しくなってしまうんです。

2つめは営業活動が難しいことでした。従来の出版物流も行いつつ、平行して新しい事業を育てるとなると、どうしても受け入れスペースに制約があります。しかし、変動のある倉庫の空きスペースにピンポイントでマッチした荷主を自社だけで見つけてくるのは、営業人員の不足もあって至難の技です。

3つめとして、システム開発などの初期投資の部分もネックでした。当社にはシステムの事業部もあるので「システム開発にこれだけ初期費用や時間がかかる」ということは分かっていて。でもリアルに分かるからこそ「初期投資がこんなに大きいのに、やってみて成功するかは分からないのか…」と、挑戦に躊躇してしまったんです。

わずか15坪からの超スモールスタート。売上げへの貢献や自社との親和性にも期待を持った

同社の課題や強みにマッチしていたことから、オープンロジと提携開始

こうした悩みを抱えるなか、オープンロジに出会ったんですね。

はい。既にオープンロジと提携していた別の物流会社さんからお話をお聞きし、具体的に提携の話が動き出しました。

検討の際に1番魅力に感じたのは、スモールスタートができる点。実際に当社も、最初は15坪の空きスペースに1荷主さんだけ入れていただき、月の売り上げが4万5千円という規模から始めました。本当に、超スモールスタートでしょう(笑)。

けれど、我々としてはこれが2つの面で都合が良かったんです。まずスペースや人手の面。従来の業務やスペースの上限があるなかで、いきなり大きな荷主を紹介されても対応しきれるか分からなかった。また未知の領域に挑戦するということで、社内からは当然心配の声もあり、信頼を得るためにはまず小さいところから実績を積み上げることが必要でした。
ですから1坪・棚1つから始められて初期投資も抑えられるというオープンロジの仕組みは、とてもありがたかったんです。

他にも検討段階で好材料になったことはありましたか?

売り上げへの影響という部分でも魅力を感じました。倉庫側は各作業に応じてオープンロジから作業料をいただくので、我々も事前に単価表を拝見したんですが、これまで一業種の単価しか見えていなかったので、とても勉強になりました。

また、EC物流の特性と自社の強みにも親和性を感じました。出版物流倉庫の強みとして、仕分け業務やセット組等のアッセンブリなど、細かな作業に慣れている現場スタッフがたくさんいます。オープンロジも流通加工などECに不可欠な細かい作業に対応しているので、その点は当社と親和性が高いなと思いましたね。

あとは実際に同業種の他社が提携倉庫として上手くいっている実績があった点も、大きな安心材料でした。

導入は安心・スピーディ!

運用に向けた準備は、オープンロジの担当者がしっかりとサポート

運用開始までにはどの程度の期間・コストがかかりましたか?

最初に提携のお話を頂いてから運用開始までは、社内での展開・調整も含めて約2〜3ヶ月、うち現場立ち上げに約1ヶ月かかりました。現在はマニュアルも整い、2週間程度まで短縮されているそうですが、当時でも導入がスムーズで早かったのには驚きました。

通常の倉庫管理システムだと、ヒアリング・要件定義・システム構築…と、実装・導入するまでに非常に時間がかかるというイメージがありましたが、オープンロジには全ての荷主・倉庫が利用する、標準化・共通化されたシステムがあった。おかげで導入もスピーディでしたし、立ち上げ当初、別の提携倉庫で扱っていた荷主さんを当社倉庫に移管した際も、データの移行含め非常にスムーズでした。

また初期投資も思ったより安く抑えられましたね。パソコンやピッキングリスト用のレーザープリンタ、回線やルーターの準備などで、弊社側の負担は20〜30万円程度で済みました。

運用に向けた準備はスムーズに進みましたか?

はい。最初はオープンロジの担当者が一定期間常駐してくれました。システムだけ入れて現場へ丸投げではなく、担当者がレクチャーしながら一緒に現場運用を立ち上げてくれたので、非常に安心でしたね。現場で動線を試行錯誤しながら、ハードウェアの配置や設定なども一緒に行ってもらいました。

運用開始後、案件紹介のペースはいかがでしたか?

柔軟に対応してもらっています。実は、導入後40坪くらいまで拡大した後に、しばらく拡大を止めていただいた時期がありました。この時はこちらがオープンロジ以外の案件との兼ね合いで思うようにスペースを割けない状況だったので、ご相談しながらスペース内で案件をやりくりしていました。

しかし昨年からは倉庫が1棟空いたので、そちらの使用にも踏み切って現在は300坪ほどのスペースを確保し受け入れを増やしています。今は約60社ほどの荷主さんを受け入れていますね。

導入のメリット

自社だけでは解決できなかった課題を解消し、EC物流に取り組むことができた

実際にオープンロジを導入して感じたメリットを教えてください。

メリット1.多数の荷主の業務でも、システムで負担なく対応できる

通常は荷主の数が増えるほど管理や個別対応の負担が増えますが、オープンロジが荷主からの作業依頼のフォーマットを標準化していることで、倉庫側としては個別の荷主を意識することなく、オープンロジからの依頼として処理ができます。もちろん一部特殊な梱包や個別の運用はありますが、荷主1社1社が全く違う運用で毎回新しい作業を現場に説明することを考えたら、非常に助かっています。

また、事務的な面では、オープンロジが荷主の与信や契約内容の管理・債権回収をしたうえで、倉庫への作業料の支払いまで行っているため、倉庫は契約周りの手間や債権回収のリスクを負う必要がないのはありがたいですね。

メリット2.自社で営業活動をしなくても、オープンロジがぴったりの荷主を紹介

提携倉庫に空きスペースがあれば、オープンロジ側がそこにマッチした荷主を随時紹介してくれます。それまでは自社で営業活動を行い集客していたのですが、提携後はほぼその必要が無くなりました。

自社で営業活動を行う場合、見込み客ばかりではないことに加え、空きスペースにも制約があり、営業の難易度が非常に高い。でもオープンロジには様々な規模や種類の案件がたくさんあるので、自社にマッチした案件を紹介してもらえます。

先日もちょうど、「こんな内容で50パレット規模の案件があればください」というワガママなお願いをしたんですが、オープンロジはまさに要望にぴったりな案件を紹介してくれたんです。ほかにも「今は人手に余裕があるので、少し手間のかかる加工系の案件も大丈夫です。スポットの案件もあればください」といったご相談をした時も、マッチする案件をいただきました。

同社倉庫の一部。オープンロジが6,000以上の登録ユーザーから適した案件をご案内

メリット3.単なる下請けではなく対等なパートナー関係を築ける

オープンロジは、荷主はもちろん、我々提携倉庫も下請けではなくお客さん・パートナーとして考えてくれています。対等な関係性を築くことができているので、倉庫側としての意見も本音で話すことができ、きちんと検討してもらえます。

例えば新規の荷主を受け入れるペースについても、こちらの体制も聞かずに無理やり、といったことはなく事前に相談してくれるので安心です。

逆にシステムの機能や使い勝手といった部分は我々から現場の意見をフィードバックしてオープンロジ側に生かしてもらったりと、お互いにメリットのある関係を築くことができています。

新しい事業とシステムは、現場からも好評

現場のPC・タブレットで業務が完結。システムは現場の声を反映し、日々改良される

提携について、実際に作業をされている現場の皆様の評価はいかがですか?

現場のスタッフからも好評です。オープンロジのシステムを入れて作業が現場のタブレットやPCで完結できるようになったので、現場は手待ちの時間が減り、より主体的に仕事を進められるようになりましたね。従来はシステムを使うのは別フロアの事務所で、現場ではほぼシステムを使っていませんでした。そのため事務所側でのシステム処理が終わらないと現場では伝票が出力されず作業に移れなかったりと、現場からしたら「早くしてよ!」という部分もあったと思います。

また、今までずっと出版物だけを扱っていたのがECの様々な商品に触れるようになったので、面白いと感じているみたいです。ぬいぐるみからアパレル・飲料まで色々なものがあるので、「次はどんな商品が来るの?」「ECではこんな商品が売れるんだ」など、以前よりワクワクしながら作業に臨めていると感じます。

システムの使い心地の部分はいかがでしょう?

使いやすいですね。説明書いらずで直感的に操作できて、次に何の作業をするかすぐ分かる。現場スタッフもシステムを通じて作業全体を把握できるようになったので、予測を立てて色々工夫してくれるようになりました。

特に便利な機能は、海外発送の送り状印刷機能です。海外発送分は手書きしているところがまだ多いので、システムで発行できるのはとても助かる。当社も以前オープンロジ以外の案件でSAL便の海外発送をしたのですが、その時は全て手書きで、夜通し送り状の作業をしていました…。オープンロジはシステムの単体提供も可能ということで、この機能だけでも十分メリットがあると思いますね。これだけでも、自社でゼロからシステム化しようと思ったら相当な手間とお金がかかりますから。

またシステムは、我々現場の意見も反映しながら日々バージョンアップされています。例えば論理的には完璧な機能であっても、実際に現場で使ってみるとかえって非効率になってしまうこともありますよね。その点オープンロジは担当者が我々現場と会話しながら意見を吸い上げ日々改良を進めているので、今後もさらに便利になっていくはずです。

こういった点を踏まえても、月額のシステム利用料は割安だと思います。導入前、自社でEC物流をやろうとした際にシステムのパッケージなどを色々調べましたが、それよりもコスパ良く使わせていただいています。

EC物流という新たな柱は、経営面でもメリット大

新たな事業の柱を作ることを目的にEC物流に取り組まれましたが、今振り返ってオープンロジとの提携をどう感じますか?

あの時踏み出して良かったなと思いますね。たった15坪のスペースと30万の初期投資から、EC物流という新たな柱を作ることができたと思っています。

その結果、前述した課題であった業務依存度のバランスも改善でき、経営面でもメリットを感じています。

今後に向けて

「小規模から始められるのが良いところ。まずは一度選択肢に入れてみては」

ここまで様々なお話を伺いましたが、まとめとしてオープンロジの総合評価に点数をつけると、ずばり何点でしょうか?

我々からは90点ぐらいを差し上げたいかなと。現時点ではまだ実験段階の機能や取り組みもありますが、引き続きシステムの改良や新しいサービスの立ち上げなど積極的に取り組まれるそうなので、今後も期待しています。そして具体的なメリットはもちろん、本音でお話できる関係性を築けているというところが本当に有難いなと思っています。

今後はより成果を出して、EC物流という新しい分野へ挑戦した意義や、オープンロジのビジネスが倉庫側にもメリットのある取り組みだということをきちんと実証し、社内外に発信していきたいと思っています。

最後に、記事をご覧の方へメッセージをお願いします。

提携倉庫は現在どんどん増えていますが、今後もぜひたくさんの方に、オープンロジのネットワークへ加わっていただけたらと思います。今もすでに、倉庫同士でのノウハウをはじめとした様々な情報交換や、資材の融通などをして協力しあっていますから。

最初は本当に小規模から・お試し感覚で導入できるのがオープンロジの良いところだと思うので、あまり難しく考えすぎず、まずは選択肢に入れてみてください。