導入事例インタビュー

IoTスタートアップの徹底的な
クオリティ・コントロールを実現した物流に迫る

株式会社BONXCTO/COO楢崎 雄太 様

この記事のPOINT

POINT-1
当初、費用面で大手物流会社に委託できなかった
POINT-2
事業をスケールしていくためには、拡張性のある物流体制が必要だった
POINT-3
入庫時の製品検品、BASEとのAPI連携による自動出荷、店舗向け納品をオープンロジで実現

エキストリームコミュニケーションギア「BONX Grip」の企画・開発・販売を手がける株式会社BONX様。2015年に日本のIoT史上最高額でクラウドファンディングを成功させ、日本を代表するIoTスタートアップとして高く評価される同社の強みは、独自開発の新技術です。精密な電子製品の徹底的なクオリティ・コントロールを具現化するまでの道のりを、技術開発・物流オペレーション責任者であるCTOの楢崎様にお伺いしました。

ウェアラブルトランシーバー「BONX Grip」2018年3月経産省及びIoT推進ラボ主催の「IoT Lab Selection」でグランプリを獲得した

クラウドファンディング成功後に待ち受けていた、2,000件の自社出荷

オープンロジ導入前の状況を教えて下さい。

2015年9月にクラウドファンディングが終了し、量産を経て12月から出荷開始したのですが、アルバイト数名を雇って協力会社の倉庫を使い発送していました。想定以上の量だったので、どういったオペレーションで進めるのかを考えるのも大変で、約2,000件の出荷に2週間ほどかかりました。業務の流れとしては、弊社で当日作業できるだけの送り状を発行し、それをアルバイトに託して倉庫で出荷作業を行ってもらっていました。

急に2,000件の出荷となると、ミスも発生しそうですが?

肌感ですが、出荷件数の1.5割くらいはスムーズな出荷ができませんでした。素人が行う梱包や出荷作業のミスは防ぎきれず、違う色が届いたり1個足りない...といったクレームが多かったです。また、商品パッケージの破損や汚れなどのクレームもあったのですが、それらは梱包の段階できちんと検品できていれば未然に防げたと思います。

また、お客様から届け先の住所変更の問い合わせも多かったです。弊社のコアターゲットはウインタースポーツが好きな人なので、シーズン中である年末は山にいます。発送タイミングが年末だったこともありお客様は自宅にいないことが多く、対応が大変でした。

自社での出荷作業はかなり負担が大きそうですね。

そうですね。金銭面、メンタル面共にダメージが大きかったです。金銭面では、クレーム対応のための再発送が発生したので無駄なコストが発生してしまいました。当時、配送会社さんとそれほど良い契約条件で契約を結べていなかったこともあり、1つひとつのミスがコストに繋がっていきました。

また、2,000件の出荷作業の終わりが見えず、社員からは「いつ終わるの?」という声が聞こえてきました。正直、学生のアルバイトに任せきりなのは不安だったので、オペレーションの責任者(ものを作ってからきちんと届けるまでの管理)の私が本当に全員に送れているのかどうかの確認も行っていました。社長とデザイナーと三人で大晦日に伝票を数えたことは今でも忘れられません..。

コスト、倉庫の拡張性に納得がいかない

外注先を探すようになったきっかけは?

外注先を本格的に探し始めたのは、大変な出荷作業を経験したからです。もともと物流業務の大変さは聞いていたので、いつかは探さなくてはいけないとは思っていたのですが、ここまで泥臭く大変な作業だとは思いもしませんでした。どんなに良いものを作っても、きちんとした商品を正確にお届けできなければブランドイメージの毀損に繋がるので、危機感を持ちましたね。それもあって3ヶ月間で6〜7社は見積もりを取って、全社と打ち合わせをし、その内の3〜4社は倉庫見学までしました。

オープンロジは、資金調達のニュースを見て知りましたね。物流会社って、大手や中小企業のイメージがあったので、スタートアップで物流会社があるとは意外でした。

複数の物流会社と打ち合わせをした所感はどうでしたか?

「3ヶ月間で6〜7社の物流会社と打ち合わせをしたが、決定に至らなかった」

大手物流会社のほぼ全社に見積もりとってもらいましたが、いくつかきになるところがあり決定に至っていませんでした。

一つ目は、費用面で高く、課金体系にあまり納得がいかなかったことです。例えば事務手数料やシステム管理料金が、契約した瞬間から発生するんですよね。私たちのようなスタートアップとしては、まだ物が動いていないのに、数ヶ月間、数万円単位でコストが発生してしまうのは正直きついです。

二つ目は、倉庫確保の柔軟性です。当時は、発送件数のボリュームが状況によっては一気に変わりうる状況だったので、見積もりの際に概算を伝えられないまま、倉庫を借りるのはリスクがありました。スタートアップは非常に不確実性の高い状況下にあると思うので、柔軟性のある倉庫が必要でした。

三つ目は、クラウドサービスではない点です。大半の物流会社は、ソフトウェアをWindowsパソコンにインストールしなくてはならず、Macでは動かないと言われました。かつリアルタイムで出荷状況の確認もできなくて、「だったら私に開発させてください」と言いたくなったのを覚えています。

それらに比較するとオープンロジはクラウドサービスで、課金体系もシンプルという印象でした。見積もりも比較検討しましたが、私の中ではオープンロジ一択だと思いました。

オープンロジ導入の決め手はなんだったのでしょうか?

費用的にも従量課金制で、安かったというのもありますが、オープンロジを選んだ一番の決め手は、ECサイト運用サービスの「BASE(※)」とオープンロジがAPI連携するという話を聞いたからです。私たちは、2016年12月にECでの正式販売をスタートすると決めていたので、そこまでにきちんとオペレーションを作らなくてはないといけないという課題意識がありました。そのためには、受注から発送までの業務自動化が必要不可欠でした。アウトソーシングに求めるポイントとして拡張性のある倉庫であるということは先ほども話しましたが、業務フローの観点でも、最初から拡大することを想定してオペレーションを組まなければいけないと思っています。受注データを手作業で処理して倉庫にアウトソーシングするというのは、いずれ規模が拡大した時には追いつかなくなります。なので、ある程度システムとして組み込めるか、もしくはカスタマイズできるというのが非常に重要な判断軸でした。

BASEとは、オンライン販売を手軽に始められるサービスです。

そこでタイミングよく、オープンロジとBASEのAPI連携の話を聞き、当時はまだ、連携は完成していない段階だったのですが、スタートアップ同士、一緒に並走しながら作っていきたいと思いオープンロジを選びました。

細かな物流業務に高い品質で応えるオープンロジ

導入決めた後はどの様に進めていったのですか?

正式販売に向けて半年ほど、オープンロジと製品の仕様について打ち合わせを重ね、正式販売の1ヶ月前には、BASE連携の動作確認も行うなど準備を進めていきました。弊社は、電子製品という特性上、製品の外装検品に加えて、製品自体の検品、製品の動作確認を生産ロットから一定数抜いて検品する必要があります。その要件定義をして、倉庫側のオペレーションと、独自のシステムの連携の2点を中心に準備を行いました。

実際にオープンロジを導入して感じたメリットを教えてください。

「製品のクオリティ・コントロールについて理解し、倉庫で対応してくれることがありがたい」

メリット1: 重要な製品検品へ柔軟な対応

製品のクオリティ・コントロールについて理解し、倉庫で対応してくれることがありがたいです。どうしても中国で生産したものを香港経由で輸送してくるので、完成した製品が倉庫に届いて初めて分かることって結構多いんです。例えば、輸送中のトラブルや、生産側の問題で梱包物の糊の貼り合わせがうまくいっていなかったり、製品に汚れがついていることがあります。そういった不良品を倉庫で受け入れた際に、スピーディに課題を発見することがクオリティ・コントロールの観点で不可欠です。弊社は倉庫から報告された問題をベースに判断をしたいと思い、オープンロジには受け入れ時の詳細な検品をお願いしています。一次判断まではワンストップでやってもらえるのでとても助かっていますね。

メリット2: 高い検品レベル

オープンロジは、すごく厳しい基準で製品を見てくれていて、倉庫からいただいた報告を見ると「これホントに傷ついてる?」と思うくらいかなり細かい汚れや傷まで検知してくれています。以前、全件検品に至るほどの梱包上の問題が出てしまったことがあったのですが、それはオープンロジからアラートが上がって気づくことができました。

また、現在倉庫では外装検品、動作確認もお願いしているのですが、オープンロジの営業担当さんと基準を擦り合わせてマニュアルと検品用のアプリを作成しました。製品がどういう順番で入っているかなどですね。オープンロジは、全面的に協力してくれ、助かっています。

メリット3: オペレーションの精度向上

生産を重ねるほど、クオリティ・コントロールの精度が上がっているのを感じます。先日、5回目に生産した製品を入庫したのですが、入庫処理のスピードがとても早くて驚きました。通常1週間ほど見ているのですが、3日で完了したんです。

弊社の需要の読みが甘くて、想定以上に売れてしまうこともあり、オープンロジには無理なお願いをすることもあるんですが、毎回かなりフレキシブルにご対応いただき助かっています。

メリット4: BtoB物流にも代行して対応

弊社はEC以外に、流通大手企業と組んで全国約250店舗で製品を販売しています。ムラサキスポーツ様、ビクトリア様、ゼビオ様、その他小規模なプロショップ様など様々ですが、そういったリアル店舗への納品もオープンロジに代行していただいています。先方指定の納品関連の要件など、煩雑なルールにも柔軟に対応してくれます。製品に限らず、店頭販売に必要な販売用機材の保管・発送もお願いしているので、オープンロジへの納品SKU数でいうと結構な数になっているはずです(笑)。

メリット5: BASE連携による自動出荷

BASE連携による受注から発送までの自動化は、思った以上に便利です。外部の人からも、このサービスを利用していることについては特に評価していただいています。製造会社として、お客様に製品をきちんと届けるまでの管理が信頼に関わってくるので、オペレーションの自動化はとても重要視しています。システム連携によって、作業も効率化し、ミスも削減でき、オープンロジには感謝しています。

物流と決済サービスの連携で、もっと多くのお客様へ

オープンロジに期待していることはありますか?

ハードウェアスタートアップにとって物流や倉庫の管理はクリティカルな課題です。例えば、棚卸や在庫管理。今後はもう少し厳密にやっていきたいので、オープンロジのシステムをベースに自分たちで在庫管理よりも踏み込んだ、ERPに近いような開発をしたいと思っています。弊社にとっては、物流と在庫管理って会計とも直結してくるんですがそれを管理できる会計システムってあまりないんです。

在庫システムだけではなく、決済サービスとオープンロジが連携してくれることを期待しています。

今後の展望

弊社は、2017年末からビジネスユースを立ち上げ、2018年5月から本格始動していきます。コミュニケーションは必ずどこでも発生しているので、各業界に踏み込んでニーズや課題を解決したいと思っています。

あとは、海外展開ですね。今はアメリカ・カナダなどの北米、ヨーロッパで主に販売していますが、今後拡大を目指しています。良いものを作って、世の中に広めていくことを戦略的に行っていきたいです。本格的な販売開始から1年に満たない状況なので、まだまだ高い精度で需給予測ができないのですが、ボラティリティがある前提でどこまで対応できるかが肝心だと思っています。物を作ってからお客様にきちんと届くまでの管理オペレーションを徹底し、常に意識していきたいです。

インタビュー後記

BONX様は、これからECを始めようとする方の多くが直面する自社出荷による限界や、物流を外注しようとしても費用の高さ、一定以上の物量の必要性という面でのハードルの高さを感じていました。しかし、製品を高い品質で顧客に届けるために外注を選択し、事業の拡大を見据えてオペレーションの自動化を重要視した点が現在の同社の活躍を支えています。IoT製品を手がける同社がオープンロジを評価する点をまとめると、

1. BASEとのAPI連携により自動出荷が可能となり、低コストで業務効率化を実現できたこと
2. 検品精度の高さと倉庫作業の速度向上率
3. 商品から店舗販売用の機材まで、保管・発送をオープンロジで一元管理できること

スタートアップが抱える物流のハードルを解決するソリューションとして、オープンロジを評価していただけることを光栄に思います。

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